喪失の夜に、あなたがいた
その言葉を聞いた瞬間、楓は息を呑んだ。

驚きと、安堵と、
 胸の奥から溢れそうな温かさが混ざったような表情で、
 明莉を見つめた。

「……一緒に、歩きたい……」

楓はゆっくりとその言葉を噛みしめるように繰り返した。

明莉は小さく頷いた。

「守られるだけじゃなくて……
 私もあなたを支えたいんです。
 あなたの隣で……同じ景色を見たい」

楓の瞳が揺れた。
 涙をこらえようとして、
 でもこらえきれずに、
 ほんの少しだけ滲んだ。

「……そんなふうに言ってもらえるなんて……
 僕は……」

言葉が続かない。
 楓は明莉の手をそっと握りしめた。

その手は、
 もう震えていなかった。
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