喪失の夜に、あなたがいた
明莉はゆっくりと楓の手を握り返した。

「楓さん。
 私は……あなたに守られたかったんじゃなくて……
 あなたと一緒に、生きたかったんだと思います」

その言葉は、
 明莉自身も驚くほど静かで、
 でも確かな強さを持っていた。

胸の奥で灯った小さな光が、
 はっきりとした形を持つ。

それは──
 楓への想いだった。

楓は明莉の手を胸に当てたまま、
 ゆっくりと目を閉じた。

「……ありがとうございます……
 明莉さんの言葉……
 僕は一生忘れません。やっぱり、あなたは佑輔の言う通り
 強いひとですね」

その声は、
 震えていたけれど、
 確かに喜びに満ちていた。

明莉は静かに微笑んだ。

「……これが、私の答えです」

楓は涙を拭い、
 明莉をまっすぐ見つめた。

「……はい。
 僕も……明莉と一緒に歩きたいです」

その瞬間、
 二人の心は初めて同じ方向を向いた。

契約は──
 “本物の気持ち”へ変わった。

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