喪失の夜に、あなたがいた
妊娠の報告から数週間。
明莉のお腹はまだ小さいけれど、
その中に確かに“新しい命”が宿っていることを、
毎日、静かに実感していた。

もう、世間にも隠せないところまできていた。
撮影現場でも、スタッフたちが優しく気遣ってくれる。

「明莉ちゃん、無理しないでね」
「座ってていいよ、準備できたら呼ぶから」

その優しさが胸に染みた。

そして──
ふたりは連名で、正式に発表することにした。

重森楓と佐伯明莉、結婚。
そして、第一子を授かったこと。

発表は瞬く間に広まり、大々的に報道された。

ニュース番組でも、ネットでも、
祝福の声が溢れた。

「おめでとうございます!」
「明莉ちゃん、幸せになってね」
「重森家と佐伯明莉……すごい夫婦だ」
「赤ちゃん楽しみ!」

誹謗中傷で傷つけられた過去が嘘みたいに、
世界が温かい言葉で満ちていた。

明莉は画面を見ながら、静かに涙をこぼした。

(……こんな未来が来るなんて、思わなかった)

楓はその涙をそっと拭い、
優しく微笑んだ。

「明莉。
 これからは、俺が君とこの子を守る。
 君と……この子の未来を」
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