喪失の夜に、あなたがいた
その言葉は、胸の奥に深く沈んだ。

夜。
明莉は机に向かい、
小さな便箋を広げた。

生まれてくる子どもへ宛てた手紙だった。

震える指で、
ゆっくりと文字を綴る。

「あなたの名前には、
 大切な人の願いが込められています」

「その願いは、
 ママを救い、
 パパを救い、
 あなたの未来を照らす光になるでしょう」

「あなたが生まれてきてくれることが、
 私たちの新しい未来です」

書き終えた便箋をそっと閉じると、
胸の奥が静かに温かくなった。

窓の外では、
柔らかな風が吹いていた。

明莉はお腹にそっと手を当てた。

「……待ってるよ。
 あなたに会える日を」

その声は、
優しくて、
穏やかで、
未来そのものだった。

こうして──
佑輔の願いは未来へ受け継がれ、
明莉と楓の物語は静かに幕を閉じた。

喪失から始まった物語は、
新しい命へと続いていく。

そして、
これからは家族としてともに歩いていく未来を──
二人は確かに見つめていた。

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