伝説の鬼姫さま、溺愛されています!〜地味子を演じて平穏に生きたいのに、最強のあやかし達が放っておいてくれません!〜

初授業

チャイムが鳴って、一限目の教科の担当の先生が入室する。

「はい、みんな〜座ってー」

その言葉で、一斉に座る。

一限目の科目は、古典。
朝から、頭を使う教科だけど……私の得意科目でもある。

まぁ、私は経験者だから……。

なにせ、前世の自分は平安時代生まれ。
だから、教科書で習う古典は読めるし、用法もスラスラと分かってしまう。

「では、ここの問題を……白咲六花さん」
「はいっ!」

名前を呼ばれ、反射的に立ち上がる。

「いい返事ですね。では、問題です。このシーンは『竹取物語』で、かぐや姫が月へ帰る直前の場面です。帝が『いと、いみじく思し召して……』と書いてありますが、この『いみじく』は、ここではどういう心情を形容していますか?」

先生の問題に周りの生徒は、ざわざわとなり始める。

「先生……意地悪〜」
「あんな地味子に解けるわけないのにっ」
「いい気味。あんな子、恥かけばいいわ」

周りの生徒たちから、色々言われちゃってるなぁ。
ひーちゃんはというと、生徒の方を凄い形相で睨みつけていた。

「ふん、六花様をバカにして……六花様の凄さに気づけないのか?」

ひーちゃんったら.....庇ってくれているみたい。
嬉しいけど、私はそんな凄い人間じゃないんだけどなぁ……。
多分、昔からの仲だから大袈裟なぐらいの過大評価になっちゃっているんだろうな。

ひーちゃんの微笑ましい姿に、頬が緩むのを感じながら答える。

「はい。ここでの『いみじく』は、『この上なく悲しい』という限界の感情の形容です。プラスにもマイナスにもなる言葉ですが、文脈上では、かぐや姫を失う帝の深い絶望と悲痛な様子を表しています」

一瞬、教室が水を打ったように静まり返った。
周りの生徒の手がピタリと止まり、「……え?」と、誰かが小さく呟いた。

ん……?どうしたんだろう?

不思議に思いながら、周りをチラチラと見る。
生徒は、まるで、鳩が豆鉄砲を食ったような顔でぽかんと口を開けている。

「……っ」

先生は手にしたチョークを落としそうになりながら、目を見開いて私を凝視している。

「……せ、正解です。ただの『大変』という直訳にとどまらず、帝の心理まで完璧に捉えているなんて……素晴らしいですね。座っていいですよ」
「は、はい。ありがとうございますっ」

先生の褒め言葉に、嬉しくなってしまう。

「六花様、流石ですね」

ひーちゃんも、隣から褒めてくれる。

「えへへ……ありがとう」

少しだけ照れくさいけど……やっぱり、嬉しい。
私は、引き続き黒板の文字とにらめっこしながらノートを書き進めたのだった。







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