伝説の鬼姫さま、溺愛されています!〜地味子を演じて平穏に生きたいのに、最強のあやかし達が放っておいてくれません!〜
[side 凛] 愛おしい記憶
「ごめんね、ひーちゃん!私、ちょっと職員室に行ってくるねっ」
そんな言葉を残して、僕の前から消えていく背中を見続ける。
どれぐらい時間が経ったのか分からないがしばらくは立ち尽くしていた。
さっきまでの会話は、夢なのではと思ってしまったからだ。
でも、一人になれたことでようやく抑え込んでいた涙が溢れる。
「氷花様」
そして僕は、大好きで仕方ない自身の主の名前を口にしていた。
時は遡ること、千年も前。
まだ、日本が平安時代の頃。
当時のあやかし達は、今のような権力もなく……「悪」として無差別に虐げられていた。
本当に酷かった。
「あやかし」というだけで、処罰される世の中。
僕たちが生きていくには、酷な世界だった。
「おい、いたぞ!!」
その時の僕は、ただひたすら逃げていた。
追ってくる人間たちから逃げ続けるのに精一杯だった。
捕まれば、殺されるかもしれない。
そんな恐怖心を抱きながら、走り続けた。
しかし、当時の僕はまだ子どもで身体も小さく、体力もなかった。
限界を迎え、倒れ込んでしまった。
「大人しくしとけよ、童。すぐに終わらせてやる」
追いついてきた人間たちが、武器をこちらに向けてくる。
あぁ……もう、駄目だ。……僕、死ぬんだな。
そう思って、死を覚悟した。
だけど、次の瞬間……僕の目の前に一人の少女が立っていた。
知らない少女だったし、何故僕の前に立っているのかも分からなかった。
でも、そんなことよりも先に頭に出てきたのは……綺麗だなっていう感想だった。
目の前にいるその子は、雪を彷彿とさせる水色の髪と瞳で……この世のものとは思えない美しさだった。
絶世の美少女というに相応しい……そんな子だった。
その、あまりの美しさに人間たちも顔を赤らめて見惚れていた。
「そ、そこの女……危ないから、下がってなさい。ほら……こっちに来い」
動揺した声で少女に呼びかける人間たち。
僕とは違い、紳士に手を差し伸べようとするそいつらを見て……怒りと憎悪の感情が湧き出してくる。
だが、その感情は一瞬にして消えてしまう。
「ごめんなさい。少し……眠ってて」
そう呟いた少女は、一瞬にして人間たちを気絶させる。
あまりに一瞬の出来事だった。
僕は、倒れた人間たちを見て安堵した。
それと同時に、目の前にいる少女に警戒した。
あっという間に、五十人あまりの人間たちを倒す少女。
普通じゃない……というか、強すぎるだろっ!!
唖然としている僕に、少女は手を差し伸べてきた。
「大丈夫?怪我とか、していない?」
優しい声と、心配そうに僕を見つめてくる顔に僕の警戒心は少しだけ緩んだ。
「あ、ありがとう……」
差し出された手を握って、立ち上がる。
だけど、体力が残っていないせいか足に力が入らない。
倒れそうになった僕の身体を……彼女が支えてくれた。
近づいたことで、花のような甘くきれいな香りがふわりと鼻をかすめた。
それと同時に、温かな体温が警戒心と恐怖心で強張っていた僕の身体を、和らげてくれた。
「……あれ?もしかして、あやかしの子?」
少女の困惑した声に、大人しく頷いた。
普段なら、人間に聞かれたら必死に否定するのに……このときは自然に認めてしまった。
何故かは分からない……けど、この人は優しい。安心する。
そんな直感から、僕は今までの事情を話した。
親が小さい頃に居なくなったこと、村で人間のフリをして必死に生きていたこと、それがバレて追われていたこと。
ずっと一人で抱え込んできた弱音を吐いてしまった。
話すと自分が恥ずかしく感じ、惨めな気持ちになった。
でも、彼女は何も言わずただ、僕の話を真剣に聞いてくれた。
たったそれだけのことが、その時の僕にはとても嬉しかったのを覚えている。
話が終わると、彼女が抱きしめてくれた。
思いっきり強く……でも、優しい加減で。
「よく、頑張ったね。……生きててくれて、ありがとうっ」
少女の口から出た慈悲に満ちた言葉に、涙が溢れる。
突然、泣くだなんて……迷惑なのに。
そう思ったのに、涙は止まるどころか溢れるばかりだった。
「え、えぇっ……!?ど、どうしたの?怪我しているの?どこか痛かった?」
少女は、先程までの大人びた表情から一転、年相応の反応で困ったように慌てふためいていた。
その様子がおかしくって、思わず笑ってしまった。
僕の笑みを見て、安心したように彼女も微笑んだ。
あの時の顔を今でも忘れたことがなかった。
本当に綺麗で……僕はすぐに、恋に落ちたのを覚えている。
これが、僕と……氷花様の出会い。
そして、僕が人生で初めて、全身全霊の恋に落ちた瞬間だった。
懐かしい思い出に、胸が温かくなった。
ここまでの道のりは本当に、長かった。
何千年も、待ち続けた。
生まれ変わっても忘れられずに、ひたすら氷花様のことを待つ日々だった。
もう、会えないかもしれない。僕のことを……忘れているかもしれない。
そんな不安と絶望と恐怖心の中、氷花様のことだけを考え続けていた。
それが、今日……会えるだなんて。
本当に、奇跡だと思う。
信じたことのない神に、感謝すらしたくなるほど僕は舞い上がっていた。
でも、喜んでいる暇はない。
これからは、また眷属として大好きな彼女を守る。
彼女を危険に脅かそうとする悪い者たちから、今度こそ守りきってみせる。
決意を胸に刻み、覚悟を決める。
そして、それとは別に僕の新しい目標もできた。
僕の新しい目標……それは、六花を自分のものにすること。
前世では告白も、アピールもできなかったけど……今世では積極的に取り組んでやる。
彼女の良さが、美しさが、他の誰かに知れ渡る前に。絶対に自分のものにする。
これからは、思いっきりアピールしていく。
だから、そばにいさせてくださいね……六花様。
そんな言葉を残して、僕の前から消えていく背中を見続ける。
どれぐらい時間が経ったのか分からないがしばらくは立ち尽くしていた。
さっきまでの会話は、夢なのではと思ってしまったからだ。
でも、一人になれたことでようやく抑え込んでいた涙が溢れる。
「氷花様」
そして僕は、大好きで仕方ない自身の主の名前を口にしていた。
時は遡ること、千年も前。
まだ、日本が平安時代の頃。
当時のあやかし達は、今のような権力もなく……「悪」として無差別に虐げられていた。
本当に酷かった。
「あやかし」というだけで、処罰される世の中。
僕たちが生きていくには、酷な世界だった。
「おい、いたぞ!!」
その時の僕は、ただひたすら逃げていた。
追ってくる人間たちから逃げ続けるのに精一杯だった。
捕まれば、殺されるかもしれない。
そんな恐怖心を抱きながら、走り続けた。
しかし、当時の僕はまだ子どもで身体も小さく、体力もなかった。
限界を迎え、倒れ込んでしまった。
「大人しくしとけよ、童。すぐに終わらせてやる」
追いついてきた人間たちが、武器をこちらに向けてくる。
あぁ……もう、駄目だ。……僕、死ぬんだな。
そう思って、死を覚悟した。
だけど、次の瞬間……僕の目の前に一人の少女が立っていた。
知らない少女だったし、何故僕の前に立っているのかも分からなかった。
でも、そんなことよりも先に頭に出てきたのは……綺麗だなっていう感想だった。
目の前にいるその子は、雪を彷彿とさせる水色の髪と瞳で……この世のものとは思えない美しさだった。
絶世の美少女というに相応しい……そんな子だった。
その、あまりの美しさに人間たちも顔を赤らめて見惚れていた。
「そ、そこの女……危ないから、下がってなさい。ほら……こっちに来い」
動揺した声で少女に呼びかける人間たち。
僕とは違い、紳士に手を差し伸べようとするそいつらを見て……怒りと憎悪の感情が湧き出してくる。
だが、その感情は一瞬にして消えてしまう。
「ごめんなさい。少し……眠ってて」
そう呟いた少女は、一瞬にして人間たちを気絶させる。
あまりに一瞬の出来事だった。
僕は、倒れた人間たちを見て安堵した。
それと同時に、目の前にいる少女に警戒した。
あっという間に、五十人あまりの人間たちを倒す少女。
普通じゃない……というか、強すぎるだろっ!!
唖然としている僕に、少女は手を差し伸べてきた。
「大丈夫?怪我とか、していない?」
優しい声と、心配そうに僕を見つめてくる顔に僕の警戒心は少しだけ緩んだ。
「あ、ありがとう……」
差し出された手を握って、立ち上がる。
だけど、体力が残っていないせいか足に力が入らない。
倒れそうになった僕の身体を……彼女が支えてくれた。
近づいたことで、花のような甘くきれいな香りがふわりと鼻をかすめた。
それと同時に、温かな体温が警戒心と恐怖心で強張っていた僕の身体を、和らげてくれた。
「……あれ?もしかして、あやかしの子?」
少女の困惑した声に、大人しく頷いた。
普段なら、人間に聞かれたら必死に否定するのに……このときは自然に認めてしまった。
何故かは分からない……けど、この人は優しい。安心する。
そんな直感から、僕は今までの事情を話した。
親が小さい頃に居なくなったこと、村で人間のフリをして必死に生きていたこと、それがバレて追われていたこと。
ずっと一人で抱え込んできた弱音を吐いてしまった。
話すと自分が恥ずかしく感じ、惨めな気持ちになった。
でも、彼女は何も言わずただ、僕の話を真剣に聞いてくれた。
たったそれだけのことが、その時の僕にはとても嬉しかったのを覚えている。
話が終わると、彼女が抱きしめてくれた。
思いっきり強く……でも、優しい加減で。
「よく、頑張ったね。……生きててくれて、ありがとうっ」
少女の口から出た慈悲に満ちた言葉に、涙が溢れる。
突然、泣くだなんて……迷惑なのに。
そう思ったのに、涙は止まるどころか溢れるばかりだった。
「え、えぇっ……!?ど、どうしたの?怪我しているの?どこか痛かった?」
少女は、先程までの大人びた表情から一転、年相応の反応で困ったように慌てふためいていた。
その様子がおかしくって、思わず笑ってしまった。
僕の笑みを見て、安心したように彼女も微笑んだ。
あの時の顔を今でも忘れたことがなかった。
本当に綺麗で……僕はすぐに、恋に落ちたのを覚えている。
これが、僕と……氷花様の出会い。
そして、僕が人生で初めて、全身全霊の恋に落ちた瞬間だった。
懐かしい思い出に、胸が温かくなった。
ここまでの道のりは本当に、長かった。
何千年も、待ち続けた。
生まれ変わっても忘れられずに、ひたすら氷花様のことを待つ日々だった。
もう、会えないかもしれない。僕のことを……忘れているかもしれない。
そんな不安と絶望と恐怖心の中、氷花様のことだけを考え続けていた。
それが、今日……会えるだなんて。
本当に、奇跡だと思う。
信じたことのない神に、感謝すらしたくなるほど僕は舞い上がっていた。
でも、喜んでいる暇はない。
これからは、また眷属として大好きな彼女を守る。
彼女を危険に脅かそうとする悪い者たちから、今度こそ守りきってみせる。
決意を胸に刻み、覚悟を決める。
そして、それとは別に僕の新しい目標もできた。
僕の新しい目標……それは、六花を自分のものにすること。
前世では告白も、アピールもできなかったけど……今世では積極的に取り組んでやる。
彼女の良さが、美しさが、他の誰かに知れ渡る前に。絶対に自分のものにする。
これからは、思いっきりアピールしていく。
だから、そばにいさせてくださいね……六花様。