桃と伊吹の、ドキドキ♥️ナゾトキFile
【ナゾトキ】

綺麗な長い黒髪。整った顔立ち。近くで見ると、一層生徒会長さんの美人度が際立つ。
そして伊吹君、お姉さん似なのかも。

「その……どうして私が小説を書いてるってわかったんですか? 葉月先輩」
「ワタシも弟の伊吹も『迷宮オンライン』の熱心なユーザーでな……二人とも『読み専』だが」

どきっ。

迷宮オンラインとは、ミステリー小説専門の投稿サイトだ。

「君の名前は、『小林桃』だ」
どきっ。

「そこに『桃 梢鈴(とう しょうりん)という作家さんがいてな……ファンなんだ」
「え!……アナグラムのペンネーム、わかっちゃったんですか?」
あ、自分からバラしてしまった……

「ああ、と言っても見抜いたのは、弟の伊吹だ」
「そうなんですか!……でも小林(こばやし…しょうりん)桃(もも…とう)なんて名前、日本に何人もいると思うんですが」

「ははは、その作家のプロフィールに『今年、T市の中高一貫校に入学』って書いてあったからな」

し、しまった! 個人情報管理が甘すぎ!……でも、お二人が私のファンなんて、ちょっと嬉しいかも。

「で、『頼み』とは何でしょうか?」
「君に『新生!生徒会兼ミステリー部』に入って欲しい」

「はあっ?『生徒会兼』って……」
「学校という場所は、小さな事件がいくつも起きる場所でな。それをミステリー小説の謎解きの力で解決しようと考えている」

「で、でも……生徒会なんて、私に務まるでしょうか? 選挙もありますよね?」
「君なら全然問題ない。それに、わが校の生徒会役員は、今の役員の推薦制だ……つまりワタシのな」

あまりにも、いきなりな生徒会役員の勧誘……ちょっと躊躇(ためら)う。

「君は、ミステリー小説を書くくらいだから、頭脳明晰なんだろうが、足でコツコツ稼ぐタイプでもあるらしいな」
「は?」

「先日、家の近所で君に似た人物をみかけた。電柱の陰にいる所を」
「え! え!」
尾行が、バレてた!

「伊吹も見かけたそうだ」
「……ごめんなさい、挙動不審なことをしてしまって」

「ハハハ。あ、そうそう、弟もミステリー部に入ってくれるそうだ。君はどうかな?」
「え! ……は、入ります!」

「ありがとう。ようこそ、生徒会兼ミステリー部へ! 一緒に校内事件を解決していって、この学校を素敵な場所にしようじゃないか!」

ああ、大変美味しそうな『エサ』にパクっと食いついてしまった。

食いついてしまってから少し後悔する。

また同じ過ちを繰り返してしまうんじゃないかって。
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