「俺の、彼女」
第1話 「誰にも言えない秘密」
誰にでも一つくらい、
秘密はある。
俺には、好きな人がいる。
まだ、気持ちは伝えていない。
彼女には、
彼氏がいる。
なんで、
あんな奴と付き合ってるんだ。
そう思うことはある。
でも、
付き合っているのは、
紛れもない事実だ。
どうしようもない。
………この間、
その彼女、
栞(しおり)がクラスで泣いていた。
友達に慰められている。
聞こえてくる会話からすると、
「栞は悪くないよ。
和真(かずま)がおかしい。」
女子から見ても、
悪いのは和真らしい。
泣かせやがって。
栞を。
栞の親友、
蒼空(そら)が
言わずにはいられない様子で、
「栞さぁ……。
私が二人のことに口出しするのも変だけどさ。
和真、
栞のこと泣かせすぎ。
今回だけじゃないよね。
いつも和真に合わせて、
栞ばっかり気を使って。
それって、
好きって言えるの?」
泣いている栞に向かって、
親友だからこその、
容赦ない言葉だった。
俺は教室を出るタイミングを
失って、
部活にも行けずにいた。
教室の片隅で、
自主勉強をしているふり。
二人とも、
俺がいることを忘れているんじゃないか。
そう思うくらいだった。
和真に対して、
蒼空の怒りはどんどん
大きくなる。
「もうさ、
私が代わりにガツンと言ってこようか?
なんかムカつくんだよね、
和真。
調子に乗ってんなって
言ってあげるから!!」
そう言うと、
栞がぽつりとつぶやいた。
「私が悪いんだよね……。」
うつむく栞を見て、
蒼空はすぐに言い返す。
「そんなことないでしょ!!
彼女がいるのに、
他の女子と一緒に帰るなんて、
おかしいでしょう?」
その言葉を聞いた瞬間、
そんなことしてるのか、
あいつ。
怒りが込み上げてきた。
勉強なんて、
できるわけがない。
蒼空は
気持ちを切り替えるように、
「ちょっと飲み物買ってくる。
栞、待ってて。」
そう言って、
教室を出ていった。
教室には、
俺と栞だけが残る。
栞は鼻をすすりながら、
まだ泣いていた。
……。
俺は教科書を閉じ、
栞の席へ向かった。
「あのさ、栞。」
栞は驚いたように顔を上げ、
俺を見る。
「……ごめん。
話を聞くつもりはなかったんだけど、
出ていくタイミングを逃してさ。
聞こえちゃった。」
「ううん、大丈夫。
こんな所で話してた私が悪いし。」
やっぱり栞は、自分を責める。
相手を悪く言わない。
言葉にも出さない。
大人だなって思う。
俺だったら、
きっと感情のままに
言ってしまう。
「私だって、
言えるなら言いたいよ。」
栞が小さく笑う。
「言いたいよ。
『なんで、その子と一緒に帰るの?』
って。
でも……
なんか言えなくなっちゃうの。」
「どうして?
言ったら嫌われちゃうから?」
「それも、あるのかも。」
「我慢している自分は、好き?」
「好きなわけないじゃん。
だったら、こんなに泣かないし。」
「泣いたらスッキリして、
和真のこと許せるの?
なかったことにできる?
理由を聞いて、納得できるの?」
栞は何も答えない。
俺は、続けた。
「俺は嫌だな。
理由があるとしても、
まずは栞に話すべきだと思う。
栞ばっかりが苦しいじゃん。」
「だから──」
そこまで言って、
俺は言葉を飲み込んだ。
栞が、
まっすぐ俺を見ていたから。
「別れろ。」
その一言だけは、
どうしても言えなかった。
秘密はある。
俺には、好きな人がいる。
まだ、気持ちは伝えていない。
彼女には、
彼氏がいる。
なんで、
あんな奴と付き合ってるんだ。
そう思うことはある。
でも、
付き合っているのは、
紛れもない事実だ。
どうしようもない。
………この間、
その彼女、
栞(しおり)がクラスで泣いていた。
友達に慰められている。
聞こえてくる会話からすると、
「栞は悪くないよ。
和真(かずま)がおかしい。」
女子から見ても、
悪いのは和真らしい。
泣かせやがって。
栞を。
栞の親友、
蒼空(そら)が
言わずにはいられない様子で、
「栞さぁ……。
私が二人のことに口出しするのも変だけどさ。
和真、
栞のこと泣かせすぎ。
今回だけじゃないよね。
いつも和真に合わせて、
栞ばっかり気を使って。
それって、
好きって言えるの?」
泣いている栞に向かって、
親友だからこその、
容赦ない言葉だった。
俺は教室を出るタイミングを
失って、
部活にも行けずにいた。
教室の片隅で、
自主勉強をしているふり。
二人とも、
俺がいることを忘れているんじゃないか。
そう思うくらいだった。
和真に対して、
蒼空の怒りはどんどん
大きくなる。
「もうさ、
私が代わりにガツンと言ってこようか?
なんかムカつくんだよね、
和真。
調子に乗ってんなって
言ってあげるから!!」
そう言うと、
栞がぽつりとつぶやいた。
「私が悪いんだよね……。」
うつむく栞を見て、
蒼空はすぐに言い返す。
「そんなことないでしょ!!
彼女がいるのに、
他の女子と一緒に帰るなんて、
おかしいでしょう?」
その言葉を聞いた瞬間、
そんなことしてるのか、
あいつ。
怒りが込み上げてきた。
勉強なんて、
できるわけがない。
蒼空は
気持ちを切り替えるように、
「ちょっと飲み物買ってくる。
栞、待ってて。」
そう言って、
教室を出ていった。
教室には、
俺と栞だけが残る。
栞は鼻をすすりながら、
まだ泣いていた。
……。
俺は教科書を閉じ、
栞の席へ向かった。
「あのさ、栞。」
栞は驚いたように顔を上げ、
俺を見る。
「……ごめん。
話を聞くつもりはなかったんだけど、
出ていくタイミングを逃してさ。
聞こえちゃった。」
「ううん、大丈夫。
こんな所で話してた私が悪いし。」
やっぱり栞は、自分を責める。
相手を悪く言わない。
言葉にも出さない。
大人だなって思う。
俺だったら、
きっと感情のままに
言ってしまう。
「私だって、
言えるなら言いたいよ。」
栞が小さく笑う。
「言いたいよ。
『なんで、その子と一緒に帰るの?』
って。
でも……
なんか言えなくなっちゃうの。」
「どうして?
言ったら嫌われちゃうから?」
「それも、あるのかも。」
「我慢している自分は、好き?」
「好きなわけないじゃん。
だったら、こんなに泣かないし。」
「泣いたらスッキリして、
和真のこと許せるの?
なかったことにできる?
理由を聞いて、納得できるの?」
栞は何も答えない。
俺は、続けた。
「俺は嫌だな。
理由があるとしても、
まずは栞に話すべきだと思う。
栞ばっかりが苦しいじゃん。」
「だから──」
そこまで言って、
俺は言葉を飲み込んだ。
栞が、
まっすぐ俺を見ていたから。
「別れろ。」
その一言だけは、
どうしても言えなかった。
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