「俺の、彼女」
第2話 「栞が選んだ答え」
そうこうしていると、
蒼空が飲み物片手に戻ってきた。
「はい、栞。」
そう言って、
ペットボトルを渡す。
「あれ、木村いたんだ。」
「いたよ。……悪い。
聞くつもりじゃなかったんだけど、
出ていくタイミングを逃して。
栞には謝ったところ。」
蒼空は俺を見る。
「木村はどう思う?
和真、最低じゃない?」
「まぁ……。
今聞いた話だけなら、
和真も悪いと思う。」
「和真も?」
蒼空の顔が変わる。
「何よ。
栞も悪いって言いたいわけ?」
「そういう意味じゃない。ただ……」
俺は栞を見る。
「栞も、
和真を甘やかしていた部分は
あったのかもしれない。」
「……」
「栞、優しいから。」
「だからって、
反省するのは栞じゃないでしょ。」
「うん。
でも、これからのためには
必要かもしれない。」
「必要?」
「嫌なことは、嫌って言わないと。
我慢しているだけじゃ、
相手には伝わらないから。」
蒼空は栞を見る。
「だって。栞。」
鼻をかみ終えた栞は、
小さくうなずいた。
「木村君の言う通りかも。
私も……言わなすぎたのかもしれない。
我慢してるだけじゃ、伝わらないものね。」
「そうだよ。」
俺は続けた。
「こんな風に素直に言えていたら、
もう少し和真も
変わっていたかもしれない。」
そう言うと、
蒼空が少し笑った。
「栞さ。」
「和真なんかより、木村みたいな人の方が
合うんじゃない?」
「え?」
「だって、こうやって
ちゃんと話せるじゃん。
栞、こんなに自分の気持ち
話してるの、初めてじゃない?」
蒼空の言葉に、
俺は栞を見る。
「そうなの?」
栞は少し考えてから、
「……初めてかも。」
小さな声で、
そう言った。
「私、和真と話してみる。」
そう栞は言った。
「別れる選択はないのね?」
蒼空が確認する。
「一回、ちゃんと伝えてみる。
じゃないと、
私も前に進めないから。」
「うん、分かった。」
蒼空はそう言って、
栞に笑いかけた。
「蒼空も、木村君も……ありがとね。」
二人が教室を出ていった。
しばらくしてから、
俺も教室をあとにした。
栞は、
和真と話すことを選んだ。
おはよう。
挨拶が飛び交う教室。
その中に、栞の声の
「おはよう。」があった。
あの後のことは、
聞いていない。
付き合っているのか。
別れたのか。
分からない。
ただ、
栞は、
いつも通りに笑っていた。
昼休み、
廊下を歩いていると、
「木村。」
蒼空から声を掛けられた。
「おう。」
「聞いた?栞から。」
「何を?」
「何をって……。
あの事しかないでしょ。和真とのこと。」
「あぁ。」
「あぁ、じゃないでしょ。
他人事なんだから。」
「他人事だろ。」
そう答える自分を作るのに、
いっぱいいっぱいだった。
「栞ね、和真と別れたんだよ。」
「えっ……。マジで?」
「そう。マジ。」
蒼空は少し興奮したように続けた。
「和真に、なんで女子と帰ったのか理由を
聞いたんだって。
それで、和真の言い分を聞いて……」
蒼空が少し間を置く。
「『分かった』って言ったんだって。」
「……」
「でも、そのあとにね。」
蒼空は栞の言葉を思い出すように話した。
「『そういう考えを持っている和真とは、
もう付き合いきれない。
私、疲れるから別れる。』って。」
「……」
「言い切ったんだよ。」
私さ、
やっぱり栞のことが心配で。
遠くから見届けてたわけ。
そしたらさ……
蒼空は少し笑った。
「最後に聞いたことのないくらい、
低い声で言ったんだよ。」
「今までありがと。じゃあね。」
「って。」
「振り向きもしないで、
そのまま去っていった。」
「私、びっくりしたよ。」
蒼空は興奮したように言った。
「木村、そういうことだよ。」
言いたいことだけ言うと、
蒼空は廊下を歩いていった。
そういうことって、
どういうことだよ。
俺は頭をかいた。
蒼空から
栞のことを聞いたからといって、
特段、
俺が何か行動を起こすわけでもない。
授業中。
栞の席より
後ろに座る俺は、
栞の背中を
見つめることくらいしか
できなかった。
不意に、
栞がこちらを向く。
驚いた俺は、
慌てて視線をそらした。
何やってるんだ、俺は。
栞と話すどころか、
目が合うだけで
こんなに焦ってしまう。
前よりも………、
栞を、
好きになっている
俺がいた。
蒼空が飲み物片手に戻ってきた。
「はい、栞。」
そう言って、
ペットボトルを渡す。
「あれ、木村いたんだ。」
「いたよ。……悪い。
聞くつもりじゃなかったんだけど、
出ていくタイミングを逃して。
栞には謝ったところ。」
蒼空は俺を見る。
「木村はどう思う?
和真、最低じゃない?」
「まぁ……。
今聞いた話だけなら、
和真も悪いと思う。」
「和真も?」
蒼空の顔が変わる。
「何よ。
栞も悪いって言いたいわけ?」
「そういう意味じゃない。ただ……」
俺は栞を見る。
「栞も、
和真を甘やかしていた部分は
あったのかもしれない。」
「……」
「栞、優しいから。」
「だからって、
反省するのは栞じゃないでしょ。」
「うん。
でも、これからのためには
必要かもしれない。」
「必要?」
「嫌なことは、嫌って言わないと。
我慢しているだけじゃ、
相手には伝わらないから。」
蒼空は栞を見る。
「だって。栞。」
鼻をかみ終えた栞は、
小さくうなずいた。
「木村君の言う通りかも。
私も……言わなすぎたのかもしれない。
我慢してるだけじゃ、伝わらないものね。」
「そうだよ。」
俺は続けた。
「こんな風に素直に言えていたら、
もう少し和真も
変わっていたかもしれない。」
そう言うと、
蒼空が少し笑った。
「栞さ。」
「和真なんかより、木村みたいな人の方が
合うんじゃない?」
「え?」
「だって、こうやって
ちゃんと話せるじゃん。
栞、こんなに自分の気持ち
話してるの、初めてじゃない?」
蒼空の言葉に、
俺は栞を見る。
「そうなの?」
栞は少し考えてから、
「……初めてかも。」
小さな声で、
そう言った。
「私、和真と話してみる。」
そう栞は言った。
「別れる選択はないのね?」
蒼空が確認する。
「一回、ちゃんと伝えてみる。
じゃないと、
私も前に進めないから。」
「うん、分かった。」
蒼空はそう言って、
栞に笑いかけた。
「蒼空も、木村君も……ありがとね。」
二人が教室を出ていった。
しばらくしてから、
俺も教室をあとにした。
栞は、
和真と話すことを選んだ。
おはよう。
挨拶が飛び交う教室。
その中に、栞の声の
「おはよう。」があった。
あの後のことは、
聞いていない。
付き合っているのか。
別れたのか。
分からない。
ただ、
栞は、
いつも通りに笑っていた。
昼休み、
廊下を歩いていると、
「木村。」
蒼空から声を掛けられた。
「おう。」
「聞いた?栞から。」
「何を?」
「何をって……。
あの事しかないでしょ。和真とのこと。」
「あぁ。」
「あぁ、じゃないでしょ。
他人事なんだから。」
「他人事だろ。」
そう答える自分を作るのに、
いっぱいいっぱいだった。
「栞ね、和真と別れたんだよ。」
「えっ……。マジで?」
「そう。マジ。」
蒼空は少し興奮したように続けた。
「和真に、なんで女子と帰ったのか理由を
聞いたんだって。
それで、和真の言い分を聞いて……」
蒼空が少し間を置く。
「『分かった』って言ったんだって。」
「……」
「でも、そのあとにね。」
蒼空は栞の言葉を思い出すように話した。
「『そういう考えを持っている和真とは、
もう付き合いきれない。
私、疲れるから別れる。』って。」
「……」
「言い切ったんだよ。」
私さ、
やっぱり栞のことが心配で。
遠くから見届けてたわけ。
そしたらさ……
蒼空は少し笑った。
「最後に聞いたことのないくらい、
低い声で言ったんだよ。」
「今までありがと。じゃあね。」
「って。」
「振り向きもしないで、
そのまま去っていった。」
「私、びっくりしたよ。」
蒼空は興奮したように言った。
「木村、そういうことだよ。」
言いたいことだけ言うと、
蒼空は廊下を歩いていった。
そういうことって、
どういうことだよ。
俺は頭をかいた。
蒼空から
栞のことを聞いたからといって、
特段、
俺が何か行動を起こすわけでもない。
授業中。
栞の席より
後ろに座る俺は、
栞の背中を
見つめることくらいしか
できなかった。
不意に、
栞がこちらを向く。
驚いた俺は、
慌てて視線をそらした。
何やってるんだ、俺は。
栞と話すどころか、
目が合うだけで
こんなに焦ってしまう。
前よりも………、
栞を、
好きになっている
俺がいた。