この恋、上方修正銘柄です!
プロローグ
プロローグ
この物語はフィクションです。
作中に登場する個人名・団体名などはすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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ファッションデザイナーを目指してロサンゼルスにやって来た、セレブな女の子達のリアリティドラマがあった。そこまで夢と希望にあふれたシチュエーションを望んでいるわけではないが、自分ももう少しマシな理由で来られたら良かったのにと思う。
高辻 錦(たかつじ にしき)の名前が記されたパスポート。顔写真と同一人物か見比べながら審査官が尋ねる。
「What's the purpose of your visit?(入国の目的は)」
「Sightseeing(観光)」
犯罪者かもしれない男を追いかけて来た、などとは口が裂けても言えない。
1時間ほどかけて入国手続きを終え、到着ロビーへと辿り着く。巨大な白いアーチ天井は、太平洋の波をイメージしたものらしい。
空港の外に出る。日差しは強いが日本より湿度が低いため、カラッとした暑さだ。眼鏡の位置を整え、大きめのバッグを肩にかけ直した。
案内板に従って緑色のシャトルバスに乗り、LAX-it と呼ばれるタクシー乗り場に移動する。運転手に名刺を見せ、この会社の住所まで行きたいと伝えて車に乗り込んだ。
車窓を流れる見知らぬ風景は、心もとなさを加速させる。
よりどころは、あの夜の約束。
愛する男に背後から拘束するように抱きしめられ、自由にもてあそばれる体。中に押し入れられた熱い欲望の塊に、内側から甘く蹂躙され続けている。
視覚、聴覚、触覚。全てに与えられる絶え間ない刺激と快楽にひたすら喘ぎながら、愛される悦びに震えていた。
絶え絶えになる息の合間に、愛しい名を呼ぶ。
「……信じて待ってるから」
ご褒美の深い口づけを与えられ、更に強い快感の波に身を委ねた。
あのまま一つに溶けてしまえたら良かったのに。
全てを見透かすような瞳に、優しく名を呼ぶ声に。早く、逢いたい。
サマーロングカーディガンのポケットに手を入れ、小さな消しゴム製の賽子を不安な気持ちと一緒にぎゅっと握った。
そう、進むしかないのだ。
例えこれがこの恋のファイナルシーズンで、空前絶後のバッドエンドが待っているとしても――
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