この恋、上方修正銘柄です!

「前から思ってたけど、いつまでも九条くんはなくない?九条錦になるんやし。別に高辻吏でも別姓でも、結婚出来るならこの際何でもええけど」
「……そっちこそ、高辻呼びのくせに」
「もう愛称みたいになってるし、なんか緊張するやん。……に、に……。あかん、ベッドの上でなら呼べるかも」
 九条が錦を抱きかかえて立ち上がる。

「ち、ちょっと待って!せっかくロサンゼルスに来たのに、まだ何にも見れてない……!」
と、意外とあっさり降ろされて、少しだけ残念に思っていると、そんな錦を見透かすように、
「お楽しみは夜に取っといて。さ、出掛けるで」
「どこに?」
「指輪買いに。婚約指輪。ティファニーでもブルガリでもヴァンクリでもハリーウィンストンでも好きなやつ選んで」
「要らない。どうせ着けないし」
「はあ?またジブンは、夢もロマンもないようなことを……」
「その代わり、結婚指輪は少し良い物を買ってね」
 それを聞いた九条は満足げに笑って、
「じゃあ、一緒に選ぶか。日本に帰ったら銀行に着けてけよ」
「まだ結婚してないのに?」
「これからするんやからええやろ。ちゃんと川端に見せとけ」
「ふふっ、そうします」

 九条は身支度を整えながら、 
「休暇、あと何日ある?」
「えっと、7日くらいかな」
「今日はゆっくりイチャイチャするとして、ハリウッドに1日、ユニバーサルスタジオに1日。サンタモニカやダウンタウン、高辻に見せてやりたいもんが沢山あるねん。明々後日にはクアラルンプールに行くで。高辻の親んとこへ挨拶しに」
「何その鬼畜プラン!」
「外資系コンサル会社の高収入リーマンなら、高辻の親父さんも文句ないやろ。俺の親父には日本帰った時に会わせるから、そのつもりにしといて。銀行への挨拶は……ほとぼりが冷めてからにするか。渉に言うの楽しみやなー、あいつ椅子からひっくり返るで」
「壬生君じゃなくても高校の同級生はみんな驚くと思う。九条くんのチーム元カノあたりは特に」
「……なんかの選手団みたいに言うな。あ、小川には高辻から言ってや。いや、一緒に言うか。やっぱ怒ってた?俺のこと」
「ふふ、自分で確かめてください」

 玄関を出て鍵を閉め、短い階段を下りる。
「なな、そろそろ俺の子、産んでみる気になった?出来れば2人欲しい」
「じゃあ九条くんが1人産んでね」
「そら、産めるもんなら産むけどやな……。そうそう、俺の年収……」
と、耳打ちされて、
「うそ!九条くん、絶対アベル辞めないで」

 アパートの外に出たところで、指を絡めるようにして手を繋ぐ。
 他愛のない幸福な話をしながら、眩しい光の中へ踏み出した。


            +終+

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