この恋、上方修正銘柄です!
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今夜は全員が17時半に退社し、近くの居酒屋の和室に集まっている。総勢50名近くの大所帯だ。
「都市創生タスクフォースの歓迎会って言っても、主役は誰がどう見ても彼ですよねえ。なんか人が多いと思ったら、いつもは来ないパートさん達まで来てるし」
課長代理の紫野が溜息をついて、女子に囲まれている九条に羨ましげな視線を向けた。隣の乾が悪戯っぽく笑って、
「新婚のくせに。前の店で俺の部下だった嫁さんに言われてるんだ、紫野が怪しい言動をしたら教えてくれって」
と、鞄からスマホを取り出そうとする。
「え、乾課長、それだけはやめて下さい!」
「なら今日は飲むぞ!」
ビールを注がれた紫野はグラスを勢いよく空け、追加の瓶ビールを注文する。
「ミシガン大卒でMBAホルダーか。そんな人生の選択肢、なかったもんなあ」
課長達の向かい側に座る融資課員、大原と大宮が会話に加わって来て、
「けど、ミシガン大学って、日本じゃあまり聞きませんよね」
「僕も初めて聞きました」
「チッチッチ、お前ら甘いな。ミシガン大学ロス・スクールってのは、全米トップ5クラスに入る有名なビジネススクールなんだぞ。分野によってはハーバードより上位らしい。って、俺もググって知ったんだけど」
「え、マジっスか!……ちょっと挨拶行って来ます」
「ぼ、僕も、失礼します!」
瓶ビール片手に席を立った二人を見て、課長が苦笑する。
「世渡りが上手くなってきたな、ゆとり世代め」
「高辻さんは参戦しなくて良いの?バチェラー九条アーヴィングを巡るガチの婚活サバイバル」
「はい」
と短く返事をしながら、薔薇を持った九条を頭に浮かべる。仮にそんなシーズンがあるなら観たい気もする。
「クールだなあ。彼氏の前でもそんなか?」
「ちょっと課長、それ、セクハラですよ」
「え、そ、そうか?いやいや、人によるだろ。俺のはそういうのに入らないよな?な?」
どこにでもいる、自分は大丈夫、と思っている上司。この50台半ばの融資課長には目をかけてもらっていることも分かっているので、今までと今後の人間関係を考慮して、はいと頷いておく。
鹿ケ谷次長の説教につかまっていた川端が、すっかり出来上がった状態で錦の左隣に戻って来て、
「やめてくださいよもう、融資課のアイドル高辻さんに変なこと言うの。異動願いとか出されたら俺、課長のこと恨みますよ」
「なんだ川端、狙ってるのか?」
「ねね、今フリーなら俺で手を打たない?」
「いえ、間に合ってますので」
「秒で撃沈……!」
男性ばかりの融資課は気楽だが、早く家に帰ってお風呂に入り、ゴロゴロしたい。まだまだお開きになりそうもない会に小さく溜息をついた時。
今夜は全員が17時半に退社し、近くの居酒屋の和室に集まっている。総勢50名近くの大所帯だ。
「都市創生タスクフォースの歓迎会って言っても、主役は誰がどう見ても彼ですよねえ。なんか人が多いと思ったら、いつもは来ないパートさん達まで来てるし」
課長代理の紫野が溜息をついて、女子に囲まれている九条に羨ましげな視線を向けた。隣の乾が悪戯っぽく笑って、
「新婚のくせに。前の店で俺の部下だった嫁さんに言われてるんだ、紫野が怪しい言動をしたら教えてくれって」
と、鞄からスマホを取り出そうとする。
「え、乾課長、それだけはやめて下さい!」
「なら今日は飲むぞ!」
ビールを注がれた紫野はグラスを勢いよく空け、追加の瓶ビールを注文する。
「ミシガン大卒でMBAホルダーか。そんな人生の選択肢、なかったもんなあ」
課長達の向かい側に座る融資課員、大原と大宮が会話に加わって来て、
「けど、ミシガン大学って、日本じゃあまり聞きませんよね」
「僕も初めて聞きました」
「チッチッチ、お前ら甘いな。ミシガン大学ロス・スクールってのは、全米トップ5クラスに入る有名なビジネススクールなんだぞ。分野によってはハーバードより上位らしい。って、俺もググって知ったんだけど」
「え、マジっスか!……ちょっと挨拶行って来ます」
「ぼ、僕も、失礼します!」
瓶ビール片手に席を立った二人を見て、課長が苦笑する。
「世渡りが上手くなってきたな、ゆとり世代め」
「高辻さんは参戦しなくて良いの?バチェラー九条アーヴィングを巡るガチの婚活サバイバル」
「はい」
と短く返事をしながら、薔薇を持った九条を頭に浮かべる。仮にそんなシーズンがあるなら観たい気もする。
「クールだなあ。彼氏の前でもそんなか?」
「ちょっと課長、それ、セクハラですよ」
「え、そ、そうか?いやいや、人によるだろ。俺のはそういうのに入らないよな?な?」
どこにでもいる、自分は大丈夫、と思っている上司。この50台半ばの融資課長には目をかけてもらっていることも分かっているので、今までと今後の人間関係を考慮して、はいと頷いておく。
鹿ケ谷次長の説教につかまっていた川端が、すっかり出来上がった状態で錦の左隣に戻って来て、
「やめてくださいよもう、融資課のアイドル高辻さんに変なこと言うの。異動願いとか出されたら俺、課長のこと恨みますよ」
「なんだ川端、狙ってるのか?」
「ねね、今フリーなら俺で手を打たない?」
「いえ、間に合ってますので」
「秒で撃沈……!」
男性ばかりの融資課は気楽だが、早く家に帰ってお風呂に入り、ゴロゴロしたい。まだまだお開きになりそうもない会に小さく溜息をついた時。