この恋、上方修正銘柄です!

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 融資課での引継ぎや残務処理を済ませ、翌日からチームに参加する。
「入行年度順に、東山、志水、船岡。3人とも中小企業診断士資格を持ってるコア人材だ」
 最年長の東山でも九条よりも年下なのは、九条が仕事をしやすいようにという配慮と、これを機に九条から色々吸収しろという上の思惑なのだろう。
「では、高辻が加わったところで、都市創生タスクフォースの趣旨を改めて確認しておく」

 部下になったから呼び捨てにするということらしい。九条はホワイトボードの前に立ち、低音だがよく通る声で話し始める。
「まちの再開発事業の目的は、都市が抱える課題を解決し、機能性や居住性を向上させ、安心かつ安全な魅力ある街づくりをすること。この事業を主導する民間デベロッパーやゼネコンをサポートするのが主な業務だ。これがコンサル会社のアベル&カンパニーなら戦略策定、計画立案、支援実行などに関わるが、銀行はまた違ったアプローチになる」
 そう言って緊張気味の錦に目を遣ると、
「平たく言うと、アベルが成功のシナリオを描いて、銀行がインフラを提供する、みたいな感じかな」

 向かいの席の船岡から書類を受け取る。
 小岩駅前周辺地区 第1種市街地再開発事業と題された資料には、事業概要やイメージ図などが書かれている。

「駅直結の利便性を活かした施設で、1階〜3階が商業や公共、4階以上がタワーマンションとなる複合施設だ。施行者である光菱地所にはシンジケートローンを組成することが既に決定している。シンジケートローンとは、複数の金融機関が集まって融資をすること。主幹事であるアレンジャーと、管理事務を行うエージェント。これらを当行が担うわけだが、その担当が我々都市創生タスクフォースだ」

 続いて、別の資料が九条から全員に配られる。
「こっちは昨日の事業コンペの結果、アベルに決まった案件」
 タイトルに、連鎖型都市再開発事業 合同庁舎跡地活用事業等に伴う第一種市街地再開発事業、とやたら長い名称がついている。
「フアッ!?これマジッスか。九条さんチート過ぎ……」

「あ、この場所って……」
 呟いた錦を見て、九条が口角を上げた。

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