この恋、上方修正銘柄です!

「オッス、錦!昨日はお疲れ~」
 校舎に入る手前で、サイドポニーテールを揺らしながら綾乃が声を掛けてきた。二人並んで3階の教室へと向かう。
「楽しかったね、仮面ライダー展」
「正直、私は全然興味なかったけど。綾乃、ああいうのも好きなんだ」
「そりゃライダーはイケメンの登竜門だから!毎シリーズ必ずチェックしてる。今回の主役、結構キてるよ?って、わ、めっちゃ興味なさげな顔。あ、そっか~、だよね〜」

 含みのある笑顔と言葉に錦は眉間にしわを寄せた。
「な、なに?」
「で、どうだったのさ。佐藤に家まで送ってもらったんでしょ?」
「どうも何も……たまたま方向が同じだったから途中まで一緒に帰っただけ。それより佐藤君が来るなら来るって言ってよね。1枚の無料券で4人まで入れるからって言ってただけで、誰が来るか教えてくれなかったし」
 綾乃が誘う男子といえば、一人は確実に九条で、もう一人は九条と仲が良い壬生だと思っていた。

「そこはほら、サプライズってやつ?びっくりした?」
「……当たり前でしょ」
 緊張しすぎて全然上手く話せなかった。おかげで家に帰ってから酷く落ち込んだ。綾乃の好意はありがたいが、せめて事前に言ってくれれば。
「だったら大成功!九条がどうせなら内緒にした方が面白いからって。……あ、やば、口止めされてたのに言っちゃった」

「……九条君が?」
「バイト先のピザ屋の店長にタダ券もらったからって。そのメンバーで行こうって言ってきたのも、実はアイツ」
 お節介、と心の中で呟いて階段を上る。

「そういや錦、背、伸びた?」
「うそ!やめてよね……」
「えーモデルみたいでカッコいいじゃん〜。スカートだって、もっと短い方が可愛いのに」
「いいの、これで。そんな風にしても私には似合わないから」
「えー、錦、可愛いのに」
 女子の言う可愛いほど信用ならないものはない。

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