この恋、上方修正銘柄です!
「そやそや、自信もっていこ」
と、九条が二人の肩をぽんと叩いて間に割り込んできて、
「で、どうやった昨日?佐藤に家まで送ってもらったんやろ?」
「……二人揃って同じこと聞かないで。実は付き合ってる?」
九条と綾乃は顔を見合わせた後、笑い出した。
「ないない! 絶対ないから!」
「そやそや!強いて言うなら、圧倒的漫才コンビ感?」
綾乃は否定したが、中学の頃から密かに九条を想い続けていることに錦は気付いている。モテるのに彼氏がいないのもそのためだ。だからアシストするつもりで、
「お似合いだと思うけど。九条君、今彼女いないなら綾乃と付き合えば良いのに」
「んな無責任な。小川と付き合って別れたら、アホ言える貴重な女友達なくしてしまうやん」
しれっと答えた九条に心底呆れて、
「別れる前提だから、話がおかしいんじゃない」
「始まりがあれば終わりがある。Everything flows. 万物流転、盛者必衰。それが人生やで」
「……いつか絶対刺されると思う」
この前、元カノから逃げていたことを思い出して、ふふっと笑ってしまう。
「何笑ろてんねん」
「……笑ってない」
「いや、めちゃくちゃ笑ろてるし」
「なんか意外ー。九条とはよく喋るんだね。昨日、佐藤とは全然話さなかったのに」
「これが楽しく会話してるように見える?」
「うん、見える」
恋をする女の子には、誰もが恋敵に見えてしまうのかもしれない。
と、その時、予鈴が鳴って。
「あ、私、日直だった!んじゃ、またね」
綾乃の後ろ姿を見送りながら、後で誤解を解いておかなくてはと思った。