ひとりぼっちの上司と私
プロローグ

 定時の午後六時半きっかりに退社した私は、楽しみにしていたオフ会の待ち合わせ場所に到着するなりぎょっとした。

 駅前のランドマークであるハム公広場。その目印となっているハムスターのオブジェ、通称〝ハム公〟の前に、会社の鬼上司が立っているではないか。

 腕時計をしきりに確認しているので、誰かと待ち合わせをしているようだ。

 背が高くきりっとした顔立ちのイケメンなのに、常にしかめっ面をしているせいで近寄りがたいオーラがあり、彼とすれ違うだけで社員はみんな萎縮する。

 私ももれなく苦手なタイプなので、あまり会社の外で顔を合わせたくない相手だった。

 でも、私もハム公前が待ち合わせ場所なのよ……!

 仕方なくスマホをバッグから出し、待ち合わせ相手の『ヤスダさん』に連絡を取る。

 使用するのは家族やリアルの友人と繋がっているSNSアプリではなく、ゲームアプリのメッセージ機能。

 ヤスダさんとはそのゲームを通して知り合い、オフ会をする流れになった。

 ちなみに、ゲームの中の私は『ユリコ』という名を使っている。

< 1 / 19 >

この作品をシェア

pagetop