ひとりぼっちの上司と私
【すみません、近くまで来ているのですが待ち合わせ場所に偶然知り合いがいて……場所を変えてもらえますか?】
送信と同時に既読を表すチェックマークがつき、すぐに返信が届く。
【わかりました。それでは、店に直接集合しましょうか】
【了解です】
鬼上司との鉢合わせを回避できたのでとりあえず胸をなでおろし、ヤスダさんと食事をする予定の創作寿司店へ急ぐ。
オフ会には本来もうひとり来る予定だったけれど、急遽都合が悪くなってしまい、顔を合わせるのは私とヤスダさんだけ。
彼がいい人であることはわかっているけれど、直接会うのは初めて。話が弾むといいんだけど……。
ちょっぴり緊張しながらも、予約した店の前に到着する。
そして、頭上の白い暖簾に手を掛けた直後だった。
「加納?」
よく知る人物の――というか、さっき目にしたばかりの鬼上司の声に呼びかけられ、反射的にびくっと肩が跳ねた。
「す、須田さん……?」