ひとりぼっちの上司と私
『その時間なら絶対に大丈夫です。残業にならないように、午後の仕事、気合い入れてやりますね!』
今思えば、乗り気すぎて須田さんは引いていたのではないかと思う。
ちょっとゲームに誘っただけなのに、なんだこいつって。いや、彼は優しい人だから。そんな風には思わないか……。
とにかく落ち着かない気持ちを抱えながらも、定時に無事仕事を終えた。
実際に彼と会うわけではないけれど、食事や入浴は先にしっかり終えて、綺麗な状態の私でゆうメロに臨みたい。
「――莉々!」
会社を出たところで、懐かしい声に呼び止められた。
反射的に足を止め、声のした方を振り向いた私は、自分の目を疑った。
「雄馬……?」
嘘でしょ? なんで、彼がここに?
笑顔で近づいてくる彼に、思わず怪訝な眼差しを送ってしまう。
ブルゾンにパーカー、太めのジーンズというカジュアルファッションなので、仕事というわけではないだろう。
彼の身長は170センチでそこまで大きくないのだが、筋肉質で逞しい体格は変わっていない。変化があるとすれば、癖のある黒髪が少し伸びたことくらいだろうか。
「びっくりしたか? 今、有休使って友達と東京観光に来てるんだ。日曜には地元に帰る」
彼は立てた親指で、少し離れた歩道にたむろしている三人の男性集団の方を示す。