ひとりぼっちの上司と私

 私鉄を乗り継ぐことおよそ三十分で、自宅アパートの最寄り駅に到着する。

 会社の周辺は都会らしくお洒落なビルが多いが、この辺りは下町風情のある商店街や緑の多い公園もあり、生活感のある住みやすい街だ。

 本当はもっと会社の近くに住みたかったが、家賃が高すぎて無理だったのだ。

 今のアパートも、六畳の部屋に二畳弱のキッチン、ユニットバスという小ぢんまりした物件のわりにはそこまで安いわけでもなく、私の収入でぎりぎり払えるライン。

 初めて東京の不動産会社に物件の相談に行った時は、夢見ていた理想と現実の差に打ちのめされるとともに、東京の狭さを実感した。

 スーパーで値引きシールの張られたお弁当と缶チューハイを買い、ようやく帰宅した。

 玄関でパンプスを雑に脱ぎ捨て、「疲れた~」と濁音交じりの言い方で呟く。

 まっすぐベッドの方へ向かうと、手に持っていた会社用のバッグとお弁当の入ったエコバッグをとりあえず床に置く。

 それから着替えも家事も後回しにして、うつぶせにベッドにダイブした。枕に顔を埋め、一日の疲れをため息に変えて吐き出す。

「あ~……ちょっと充電……」

 このまま寝落ちてしまうことも珍しくないので、本当は立ち上がるべきだとわかっている。

 でも、重力に抗えない……。

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