この度、俺様パイロットとご成婚しました。
1.現代の結婚事情

「ご成婚おめでとうございます!」

 温かい祝福の言葉とともに色とりどりの花びらがふわりと宙を舞う。
 周囲を取り囲むスタッフが口々に祝いの言葉を贈る中、ひと組の男女が腕を組みながらフラワーシャワーを今まさに潜り抜けている。

「おめでとうございます!」

 速水鈴菜(はやみすずな)も、ふたりの成婚を祝う気持ちを込めて花びらを投げ上げる。

 六月上旬。
 梅雨が始まるまでのわずかな隙間を縫うようにして現れた晴れの日は、まるで六月の花嫁は幸せになれるという言い伝え通り彼女たちを祝福している。

 華々しい成婚セレモニーが行われているこの場所は、都内でも最新鋭のファッションやアートが集まる流行の発信地。

 大通りには、世界の名だたるファッションブランドのフラグシップ店が軒を連ね、有名なパティスリーやセレクトショップが立ち並ぶ。

 鈴菜が婚活アドバイザーとして働いている結婚相談所――『ビリーブマリッジ』の事務所は、そんな街の中心地から少し外れた、駅から徒歩7分の雑居ビルの五階にある。

「ありがとうございます!」

 遠慮がちにお辞儀をしつつも、どこか恥ずかしそうに頬を染め見つめ合うふたりの表情は、幸せに満ち溢れている。
 フラワーシャワーが終わり割れんばかりの拍手を送っていた鈴菜はあらかじめ用意しておいたラベンダー色の紙袋を持ち、前へ歩み出た。
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