この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「田代さん、このたびは本当におめでとうございます」
左手を添えながら彼女に恭しく紙袋を差し出すと、うれしそうな「うわあっ!」という声があがる。
紙袋の中には、成婚の記念品のシトラスのルームフレグランスが入っている。
初夏の南仏を思わせる爽やかな香りは、新たな門出を彩るのにぴったりだ。
プレゼントを受け取ると感極まったのか、田代はグスンと涙ぐみながら鈴菜に頭を下げる。
「本当にお世話になりました。こうして成婚退会できたのも、親身に相談にのってくださった速水さんのおかげです」
「いいえ、とんでもないです!|田代さんががんばったからですよ!」
鈴菜は今にも泣き出しそうな彼女に向かって、ニコリと笑いかけた。
手放しで褒めたのは、単なるお世辞でも謙遜でもなく、紛れもない本心だ。