この度、俺様パイロットとご成婚しました。

(どうしよう……!)

 よりにもよって一番聞かれなくない人に聞かれてしまった。
 どう答えるのか、考えあぐねいていると、航輝が前に進みでる。

「鈴菜は本当は母親が経営する結婚相談所で婚活アドバイザーとして働いているんだ」
「じゃあ、結婚相談所で知り合ったって言っていたのは……」
「鈴菜と結婚相談所で知り合ったのは本当だ。ただし、入会希望者と婚活アドバイザーという立場だけど」
「なぜ嘘なんかついたの!?」
「それは……」

 睦美の目を欺くための契約結婚だからなんて言えるはずがない。
 航輝が返事に窮していると、睦美の顔はみるみるうちに怒りで真っ赤に染まっていく。

「じゃあ先ほどの男性が言っていたことは本当なのね!?アドバイザーという立場を利用して、おっ、男漁りだなんて!」
「違います!」

 鈴菜がたまりかねて叫ぶと、睦美は航輝をキッと睨みつけた。

「あなたたちの結婚を認めてもいいと思っていたのに!とんだ見込み違いだったようね!」

 睦美はふんっと勢いよく顔を背け、誤解が完全にとけないまま、もと来た道を戻っていった。

「お母さま!」
「今はそっとしておこう。あの様子じゃなにを言っても無駄だ。あとから事情を説明するから」

 航輝に引き止められ、鈴菜はしぶしぶ引き下がった。
 順調だった契約結婚に初めて暗雲がたち込め始めた。
 
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