この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「もう……。やめてください」
「照れるなよ」
「照れてません!」
ムキになって言い返すと途中で目が合い、互いにふっと笑みがこぼれる。話したいことがたくさんある。たぶん、航輝もだろう。
「家に帰ろうか」
「はい」
「いったい、どういうことなの……?」
ふたりが家路に向けて足をすすめた直後、茫然自失のもの悲しい声が聞こえてくる。
聞き覚えのあるその声にうしろを振り返ると、そこには顔を真っ青にした睦美が立っていた。
「お母さま!?どうしてここに」
鈴菜が尋ねると、睦美はおぼつかない足取りでふらふらとこちらへ歩いてくる。
「お花の展示会で近くまで来たから……。せっかくだしあなたのお母さまにもご挨拶しようと思って……」
睦美の右腕には、デパートで買ったと思しき手土産の紙袋がぶら下げられていた。
「ねえ、さっきの男性の話は本当なの?会員を騙しているって?婚活アドバイザーってなんの話なの!?鈴菜さんはデスクワークをされてるんじゃないの!?」
矢継ぎ早に繰り出される質問はもはや悲鳴に近い。