この度、俺様パイロットとご成婚しました。

(本当に困ったものね)

 鈴菜はノートパソコンに映し出された文面をそれとなく目で追った。
 若槻から仮交際終了を告げるまでもなく、相手の女性からお断りのメールが入っている。

 先方から送られてきたデート後のアンケートを見る限り、デート中の彼の態度は相当ひどいものだったらしい。

 相手の女性からも、あちらの担当者からも、お叱りの言葉をちょうだいしている。

(どうにかしないと)

 担当会員へのダメ出しには、アドバイザーの手腕が問われる。
 本来なら相手を傷つけないようにやんわりと伝えるべきだが、普通が通じる相手なら苦労しない。

「若槻さん、見た目のことをからかうのは、とても失礼です。お相手の女性には敬意を持って接してください」
「敬意を持つ?どうして?俺とマッチングできただけでもありがたい話だろう?」

 さも当然とばかりに偉そうにふんぞり返る若槻を見て、次第に頭が痛くなってくる。

 若槻は誰もが知る有名精密機器メーカー勤務の三十三歳で、年収は一千万だ。

 都内の有名私立大学を卒業しており、髪型も服装もきちんと整えられていて清潔だ。すっと通った鼻筋や丸い目もとには愛嬌もある。

 プロフィールだけなら、すぐに相手が見つかるし、実際最初はとても好印象なのだ。

 ところが、ビリーブマリッジに入会してから半年が経つというのに、真剣交際に至った件数はいまだにゼロ。

 つまり、この人と結婚を視野に入れた交際は無理だと判断されている。
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