麗し。妖し。愛し。

お月様

――星条学園

この学園では学食を購入するか持ち込むかの二種類を選択できる。

月は料理することが好きな為、忙しい朝の時間の合間を縫ってお昼ご飯を作っていた。

「お嬢様、おやめ下さい!わたくし共がお作りいたしますから」

メイドから制止の声が掛かろうとやめる気配は一切ない。

「大丈夫だよ。私だけ何もしないというのは肩が疲れてしまうからね」

「お嬢様……!」

この一件があり、制止の声が掛かるのは少しだけ減った。
学園ではこの一件から昼食を持ち込む者が増えたが。

かくいう月が昼食を持ち込むようになったのは、学食を買うと何故か食拝堂が混雑するため、混雑を避けるようになったからである。

「旭瀬院様、わたくしたちをお昼にご一緒させてもらえませんか」

毎日代わる代わる、令嬢や稀に令息がそう聞いてくるのだ。

「申し訳ないが、先約が入っていてね。今度、誘っていただけるかな?」

たまに、承諾しご一緒するくらいだ。
それ以外はほとんど学園内にある数多くの庭でお昼を過ごす。

「旭瀬院様!っあの、俺をお昼にご一緒させてもらえませんかっ」

……今日も相変わらず。

ここ何日か承諾していなかった為、たまにはいいかと誘いを受けようと口を開き、声を出した時。

「ああ、いい「悪いけど」

キャアアアア

なんと月に覆い被さるかのように稀楽が割り込んできたのだ。

「月は俺との先約がある。他を当たれ」

令嬢たちに騒がれる冷酷な仮面を縫い付けたようなその表情は、月が顔を上げ稀楽を見つめると、柔らかな笑顔に変わる。
二度目の黄色い声が食拝堂に響き渡った。

稀楽は月の手を引くといつも通りの雰囲気で、しかし親しい者が見ると怒気を感じる表情で、食拝堂から出て行った。

残された食拝堂の者達はざわめく。

「えっ!そういうことですわよね」

「有名な話ですわよ?ご存知ないの?」

稀楽に牽制された男子生徒は周りの男子生徒たちに哀れな視線を向けられていた。

「流石に藤神宮様は無理だろ。諦めろ」

このシチュエーションを歓喜する者や発作を起こす者、残念そうに肩を落とす者など混乱を招いた。
稀楽のファンクラブの者達も同様だ。

しかし・・・


「お似合いすぎませんか!?」


と驚く者が一番多かったのが実情だ。



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