別にあなたに愛されなくても。〜死に戻った侯爵夫人は、二度と夫を愛さない〜
【敬愛なるアレク様へ

 先程は、少しだけでもお会いすることができて大変嬉しかったです。
 そしてやはり、王都で私を助けてくださったのも、アレク様だったのですね。

 少しお話しした通り、私は、アレク様にお話ししたいことが沢山あるのです。

 まずは、私を助けてくださったこと、改めてお礼をさせてください。
 時を巻き戻してくださって、ありがとうございます。おかげで私は、今こうして生きています。
 王都で私を助けてくださって、ありがとうございます。とても頼もしかったです。
 この本を書いてくださって、ありがとうございます。この本がなければ、私は同じ人生を繰り返していたことでしょう。
 そして、こんな私を好きだと言ってくださって、本当にありがとうございます。

 次に、謝らせてください。
 私は、アレク様が思うような、素晴らしい人間ではございません。一度目の人生で夫にされたことは未だに許せていないし、『氷の令嬢』と呼ばれていたのだって美しいからではなく、ただ愛想が悪いだけなのです。

 アレク様は、王都で子供を庇った私を褒めてくださったと思います。けれど、あれは私が差し上げたネックレスのせいで、子供を危険に巻き込んでしまった責任からなのです。

 二度目の人生では、笑えるようになったし、話せるようになったし、友人だってできました。信頼できる仲間もできました。ですが、彼女達に本当のことを話せていないという罪悪感は、常に私を蝕んでいます。

 本当の私は、このように暗くてつまらない、どこにでもいるような普通の人間なのです。

 ですが、それでも。
 アレク様が、そんな私でも本当に良いと思ってくださるのでしたら……。

 全てが終わって本当のアレク様とお会いした時、アレク様の手を取りたいと思っております。

 私には、本当の恋や愛はまだわかりません。
 ですが、アレク様と一緒に過ごして、少しずつ知っていければ良いなと、今は思っています。

 私も、あなたを愛していると胸を張って言える日が来ますように。

 シャーリン】
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