初々しく、もどかしく。

#1 新しい出会い

#1 新しい出会い




私、水川理子。
今日から高校生。


中学の頃の自分から新しくなりたくて、地元近くの高校ではなく春永高校を選んだ。


昔の自分とは違うことにいっぱい挑戦したい。


今日は部活見学だ。
何部になろうかな。

吹奏楽部、バレー部、ダンス部…うーん…
迷うな…。



ーーーーーテニス部だけは無しだけど。



中学の時に入ってた部活だし。あんまり良い思い出がない。


すると後ろから声がかかる。
「あーー!1年生だ!こっち見学来ない??」

制服姿の女の子がこっちを見ていた。


「え、あ、…はい!」
あ…勢いで返事しちゃったよ。
この人は何部なんだろう…



言われるがままついていくと…

なにやら緑色のコートに入った。

黄色のボールがあちらこちらに転がっている。



げ。


「部長〜1年生1人連れてきましたー」
さっきの方が誰かに呼びかける。

「お、ありがとーー」
そう言って近づいてきたのは…




白い帽子、半袖短パン、こんがり焼けた肌の高身長男子。

そしてなによりも、右手に持っているのは、
ラケット……



「はじめまして。テニス部部長の井上蒼斗です。ようこそ!」


爽やかな笑顔が胸を刺す。


テニス…


やだ。


「……」

私は言葉が出ない。


すると、私を呼んできた女の子が
「部長〜やっぱりこれはだめですってー」
と言う。

部長さんは口を膨らませて
「えーーー」
と叫ぶ。
そして、

ずいっ。




急に近づいてくる部長さん。


「………」

無言でまじまじと私を見てくる。


「っ……!!?」

私は息を呑む。

部長さんはにんまりとした笑顔になって


「せっかく来てくれたんだから、ボール、触ってみない?お試し入部!」


そう言って私に持っていたラケットを差し出す。


「……珍し〜、部長!ラケット触らせていいんですか??」


「だって、新入部員ゲットのチャンス、逃したくないし」


部長さんと女の子の眼差しが眩しすぎる。

私は断る勇気がなかった。



ああ。テニス…。
思い出したくない。思い出したくないけど、


この2人の気持ちにはなぜか応えたい。応えたくなってしまう。





思わずラケットを受け取った。

懐かしい。この感覚。

「よし!!ならラケットの上にボールを乗せて、ポンポンって……」


説明をしている最中なのに、勝手に手が動く。


ポンポン…


部長さんと女の子の目の色が変わる。
「え!!!!!テニスやったことある!???」


キラッキラの眼差しは直視できなかった。



「中学の時…少しだけ…」
私は目を逸らして小声で言うと…


「テニス部、入らない?」

直球の言葉が来る。



っ……

部長さんの顔は真剣だ。

昔の自分とは違ったことをすることで、変わろうと思ってたのに。


何やってんだ私。

なんで
真剣な眼差しから目を離せないの。




……なぜ、私はラケットを受け取った???








「…ちょっと考えさせてください。」


私はそう言い残して、その場を去った。
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