灰色の日々に、君が灯した甘い色
――ある日。
そんな彼女との距離が、ほんの少しだけ縮まった。

いつものように、テイクアウトのコーヒーをカウンターに差し出した時だった。

彼女の指が、僕の人差し指に触れた。

僕の心臓は跳ね上がった。

彼女の肩もピクリと動いて、首から下げた青色の紐が揺れる。  

『清生 翠』

社員証の文字が目にとまった。

(きよせ……さん?) 

固まったまま、目が離せない。
 
   
彼女の戸惑うような声がして、我に返る。

「あっ、あああああ……っ!?」
「す、すみません、ど……どうぞっ!!」

慌てて手を離した。  
その勢いで、自分の肘で脇腹を強打する。

(ぐううっっ!!) 
  
ついに、社員証をしっかりと見てしまった。

心臓の音が収まらない。
 
目が合って、ちょっと笑ってもらえた。

「い、いえ……ありがとうございます……っ」

そして、困ったような笑顔のまま、小さな声でお礼を言うと早足で店を去って行った。

 
(どうしよう……ヤバい奴って思われたかな……)

(でも、笑ってくれたよな……!?)

頬をピンク色に染めた姿が、出会った日と重なって胸が騒ぐ。  

(とうとう名前を知ってしまった)

(清生さんか……)
(下は、『すい』さん、『みどり』さん。どっちなんだろう?)
    
触れた部分がじんわりと熱を持っている。
彼女の指先は少し冷えていた。


 
「……おい」 
「おーい、ルカ石くん。休憩行ってきてー」

僕の腕がずっと宙に浮いていたらしい。
店長の固くて熱すぎる指が、あろうことか僕の指先をギュッと思い切り握りしめてきた。


「…………」
「……台無しだよ……店長……」


「へ?」 

僕は乱暴に振りほどくと、頭を下げてから休憩室へ向かった。 
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身長差40㎝の幼馴染・社会人男女。 安全な関係を壊してでも、一歩踏み出したい。 じれったい両片想いの物語です。 【登場人物】 若葉(わかば) 5/5生まれ(24歳)・148cm 真樹(まさき) 2/3生まれ(23歳)・188cm  全15話です。 最後までお付き合いいただけたら嬉しいです🍀 ※※2026/08/18※※ 8/4~8/17の間、編集部オススメ作品としてご紹介いただき、たくさんの方に作品を見つけていただきました。 読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます🍀 レビュー、ひとこと感想、いいね、どれも嬉しくて大切に拝見しました。 追加エピソード(特別編)を公開しました。 あわせて楽しんでいただけましたら嬉しいです。 ①8/11公開 恋人になった次の日 ―第14話と第15話の間の物語― ②8/18~公開 恋人になって一カ月 ―フラットシューズのお姫様―

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