財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
第8章 本音を零した先にある、両想いの熱い夜
 自宅マンションに到着し、玄関のドアが閉まった瞬間、惺也くんの腕が伸びてきて、私は壁に押しつけられた。

「んっ……!」

 摑まれていた手首がドアに張りつけられ、鈍く痛みを帯びる。
 見下ろすように射貫いてくる視線は怒りに満ちていて、すごく怖い。

「俺がいない間に──男でもできたか?」
「え……? ち、違うのっ‼」
「ああいうスカした優男みたいなのが、好みなのか?」

 押し殺すような苦し気な声音に、胸の奥がキュッと疼いた。
 ……これって、嫉妬だよね? それって、私のことが好きってこと……?
 怒りというより、嫉妬で理性が飛んでいる……?
 威圧感にたじろぎながらも、今まで感じたことのない嬉しい気持ちがこみ上げてくる。

「彼はそういう人じゃなくて……」
「じゃあ、どういうつもりなんだ。夫のいる身で、男と二人で出かけて……、浮気と取られても文句は言えないぞ」
「っ……」

 言葉が出てこない。確かに──既婚者として軽率だった。
 私は片桐財閥の御曹司の妻。どこで誰が見ているかわからない。
 気心の知れた元先生だからと、完全に失念していた。

「……ごめんなさい」

 弱々しい声が漏れる。

「それって、浮気だと認めるってことか……?」
「……っ」
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