財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 国内だけでなく海外からの問い合わせも多く、時差の関係で昼夜を問わず対応しなければならない。
 株価大暴落による片桐グループ全体の損失額は、数千億から数兆円にも及ぶとニュースで話題になっているが、実際にそれくらいの損失がすでに出ているだろう。
 御曹司だからと責任逃れができるはずもなく、失った信頼を回復し、損失を埋める手立てを考えねばならない。
 けれど、片桐グループ内には、俺のことをあまりよく思っていない者も多く、俺は対応に追われていた。
 気づけば──五日が過ぎていた。

 十六時を過ぎても、社長室の空気は張りつめたまま。タブレットには、片桐グループ全体の株価が右肩下がりの青線で表示されている。
 ……まだ下がるか。疲労は限界に近かったが、ゆっくり食事をする暇もない。
 そんな時だった。
 秘書室からざわめきが漏れ聞こえ、部屋のドアがノックされる。

「はい」

 城ケ崎が困惑した表情で社長室へ入ってきた。

「失礼します。……社長、お客様が……」
「客? ……誰だ」

 城ケ崎は言いにくそうに視線を伏せた。

「宝生愛華様です」
「……は?」

 報道陣がエントランスを取り囲んでいる状況で、どうやって入ってきたのか。

「ちょっと、もういいでしょ!? 通してちょうだい‼」

 城ケ崎を手で押しのけながら、ド派手なピンク色のワンピース姿の愛華が、堂々と社長室の中へと入ってきた。
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