財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 職場に妊娠を報告してから半月が経ったある日。
 十五時を回り、園児たちが退園した教室で掃除をしていると、園長先生が血相を変えて駆け込んできた。

「李茉先生っ‼ 李茉先生の旦那さんが再婚するってニュースを今ワイドショーでやってるんだけど、どういうこと……?」
「……え?」

 園長先生は、休憩しようとテレビをつけたらしい。
 つい先日、妊娠したと報告したばかりなのに、半月後には夫が別の女性と再婚するというニュースを聞けば、誰だって驚くだろう。

「実は色々ありまして……離婚届を置いて家を出たんです」
「えっ⁉」
「今は実家に戻っていて……お腹の子は、一人で育てようと思っています」
「李茉先生……」

 園長先生の心配そうな視線が痛いほど優しい。

「大丈夫です。両親もいますし……今のところ、すくすく育ってくれてますから」

 気丈に振る舞ったけれど、自分でもわかる。とってつけたような言い訳だ。
 でも──産むと決めたのだから、後ろ向きにはなりたくなかった。
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