財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 あくる日、辞任届と株式売却の書類に目を通していた俺は、内線で城ケ崎を呼んだ。
 すると、控えめなノック音がした。

「社長、お呼びでしょうか」
「悪いな。一つ、頼みごとをしたいんだが」
「はい、何なりとお申し付けください」

 細身のパンツスーツ姿の城ケ崎は、口をきつく引き結んだ。

「宝生愛華が記者会見向けに準備をしているはずだ。これに行きつけの店を幾つか書いておいたから、愛華が衣装を依頼している店があったら、俺宛てに請求するように手配してくれ」

 俺は宝生家御用達の店を記したメモを城ケ崎に手渡す。

「承知しました」

 城ケ崎は顔色一つ変えずに、踵を返して部屋を出ていった。
 それから一時間ほどして、及川と今後のスケジュールを調整していると、スマホに城ケ崎から電話が入る。
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