財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 秋めいた風がオフィス街を吹き抜ける十月中旬。
 社長辞任を正式に公表すると、片桐キャピタルのエントランス前には、大勢の報道陣が押し寄せていた。

【片桐キャピタルの片桐惺也CEO、情報漏洩の責任を取って辞任か!?】
【片桐財閥の御曹司、後継者失格】
【世界の動きは読めても、自社の未来は読めないのか】

 ニュースの見出しは、どれも俺を叩くものばかり。

「社長、車の用意ができました」

 及川の声に頷き、報道陣の質問とカメラのフラッシュが嵐のように降り注ぐ中、俺は堂々と車に乗り込んだ。

「出してくれ」

 片桐キャピタルのCEOとして過ごしたオフィスビルに別れを告げた。

 この後、父の命令で宝生家と会食することになっているため、俺はその足で会食が行われる料亭へと向かった。

 料亭の個室に入ると、俺以外の面々がすでに揃っていて、食事をしながら歓談していた。
 俺の両親、愛華の両親、そして、愛華本人。
 俺は「遅くなり、申し訳ありません」とひと言詫びてから席に着いた。

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