財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
「惺也くん、今日はご苦労だったね」
「いえ、自分は退いてきただけですので」
「まあ、そう言わず……、一杯どうかね?」
「……では、いただきます」

 愛華の父親である宝生(まさ)(ずみ)会長が酒器を傾け、それを受ける形で酒杯を差し出した。
 食事をする気にはなれないが、両家が揃う場で仏頂面するのも大人げないと思い、適度に相槌を打ちながら料理を口に運ぶ。

「惺也くん、合併の件だがね。……来週の金曜日に、都内のホテルで記者会見しようと思うんだが、どうだね?」
「……はい、問題ありません」
「その日は、娘が会見を務めるから、そのつもりで」
「……わかりました」

 俺の返答に気をよくした愛華の両親は、俺の両親とますます話が盛り上がっていく。

「惺也さん、この間はありがとう。おかげで素敵な服を着ることができるわ」
「……そうか」

 俺は必要最低限の返事だけを返した。
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