財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 その後はもう仕事にならず……、そのまま上がらせてもらった。
 
 正門をくぐると、見慣れた黒いセダン車が止まっていた。
 私の姿を見て運転席から降りてきたのは、一ヶ月ぶりに会う惺也くん。
 記者会見で着ていた服と同じ姿で私の前に現れた。

「……李茉」
「記者会見は?」
「終わらせてきた」

 その言葉だけで、胸がいっぱいになる。
 止まったはずの涙が、また溢れてきてしまった。

「おいおい、いきなり泣くのは勘弁してくれ」

 口ぶりとは反対に、惺也くんは嬉しそうな声音で、私をぎゅっと抱きしめた。
 懐かしいぬくもり。
 たった一ヶ月だったのに、もう恋しいと思うほど、私は彼を欲しているらしい。

「……あ、こんばんは」

 同僚の先生たちが門から出てきて、惺也くんと鉢合わせになった。

「会見見ました! すごくカッコよかったですよ!」
「ありがとうございます。これからも、妻をよろしくお願いします」

 惺也くんが丁寧に頭を下げると、先生たちは「お幸せに~」と言いながら帰っていった。

「李茉、帰ろう……俺たちの家に。……それとも、何か食べに行くか?」
「……ううん、家でいい。私、惺也くんに話したいことがあって」
「俺も、……李茉に伝えたいことがある」

 私は彼と共に、彼のマンションへ向かった。
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