財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 私の声に気づいた先輩たちが振り返り、「ほらほら、李茉先生も、座って~」と手を引かれて座らされた。

 それからの惺也くんは、刑事ドラマの主役さながら、これまでの不正な出来事を全て明らかにし、その上で買収にかかった額と同額の資金を全額寄付すると宣言した。
 ――カッコよすぎるでしょ!
 もう手の届かない人だとわかっていても、お腹の子の父親だからかな。
 彼がすごく仕事ができて、会社のことも社員のこともちゃんと考えている人でよかったと思えた。

 自然と涙が溢れてきて、胸が熱くなる。
 子どもが大きくなったら、パパはすごく真面目で素敵な人なんだよと伝えることができそうだ。
 先輩がティッシュを手渡してくれて、それで目元を拭った、次の瞬間。

『最後に。アミル財団の名称の由来は、私の初恋の女性であり、妻でもある〝李茉〟からきています。英語表記の〝LIMA〟を逆さにしたのが〝AMIL財団〟です。……たとえ地位や名誉を手放したとしても──俺の妻は〝李茉〟ただ一人だ』

 彼の言葉に、心臓を一撃で射貫かれてしまった。
 だって、ライブ中継だとわかっているはずのに、愛の告白をしたも同然で……。
〝元〟妻ではなく、まだ妻として愛されているのだとわかったから……。

 頬を伝う涙は止まるどころかどんどん溢れてきて、言葉にならない声が嗚咽となって漏れていた。
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