財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 数ヶ月前、出産を控えたある日に、惺也くんとデートした時に目にした、総刺繍のウエディングドレス。

「え……これ……」

 契約結婚から始まり、結婚式をしないまま妊娠、出産、育児と目まぐるしい日々を過ごしてきた。
 あの時はドレスに一目惚れして見入ってしまったけれど、お腹も大きくて、ウエディングドレスなんて一生無縁だと思っていたのに……。

「折角ですから、ドレス、着てみませんか?」

 スタッフの言葉で、彼がサプライズで用意してくれたものだと確信した。
 彼はそういう人だ。私の願いを何でも叶えてくれる。

「では、お言葉に甘えて……」

 彼の優しさで胸が熱くなり、鼻の奥がツーンとする。
 きっとこのドレスを着て、記念撮影でもするのだろう。
 彼の粋な計らいに、思わず涙が零れそうになる。

「ヘアメイクもさせていただきますね」
「……お願いします」

 私は、スタッフに身を委ねることにした。
< 196 / 200 >

この作品をシェア

pagetop