財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
「好きなのを選べ」
「……はい?」

 ウィンドウショッピングをするみたいに、端から用意されている品々を見て廻る彼。
 私は圧倒されて、床に足が貼りついているみたいで動けなくなっていた。

 彼がお金持ちなのは知ってるけど、たかがデートでここまでする?
 パーティーに参加するとかでもないのに……。

「当社の一点物を厳選いたしまして、幾つかご用意させていただきました」

 一番近くにいるとあるブランドの外商部のスタッフが、笑顔で声をかけてきた。
 い、一点物……!?
 いやいや、ハイブランドってだけでも気が引けるのに、『一点物』と言われたら、怖くて触れることすらできないよ。

 ドレス、ジュエリー、バッグ、靴。私の年収に匹敵するような代物が部屋中に並んでいる。

「選ばないなら、俺が選ぶぞ」

 ええ、ええ、……そうしてください。私には、どれがいいのかすらわからない。
 片桐くんは次々と指差し、ホテルスタッフに目配せした。

「残りは、彼女の自宅に送っておけ」
「承知しました」

 片桐くんは、私たちの背後にいた及川さんに指示を出した。
 今、……何て言った? ま、まさか、残った品物全部ってこと……⁉
 当然値札なんてものはついていなくて、一つ一つが幾らなのかもわからないけど。
 きっと知ってしまったら、卒倒しそうよ……。
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