財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 
 そうか……。
 倒れた時に、彼に運んでもらったから、体重もバレバレなのね。
 私は彼が出ていったドアを見つめ、高校時代の冷たい態度の彼と今の彼を重ね合わせていた。

 食事の用意が整ったようで、声をかけにきた彼と共に、ダイニングに向かう。
 すると、ダイニングテーブルの上には高級旅館の朝食を思わせる豪華な和定食が用意されていた。

「わぁ、すごい! 毎日朝からこんな豪華な食事を!?」
「……いや、普段は食べない」
「え?」
「お前の家なら、こういうのが並んでいそうな気して、ハウスキーパーにつくらせた」

 私のために、わざわざ……?

「食べられない物とか、あるか? あったら手を付けなくていいからな」
「あ、……大丈夫です。アレルギーも好き嫌いもないので」
「……そうか」

 片桐くんのほっと安堵したような表情に、胸の奥がざわつく。
 
 昨日のデートで見せつけられた〝異次元の世界〟――『この人とは絶対に価値観が合わない』と思った瞬間もあった。
 でも──貧困の子供への寄付、外商部への気遣い、私の好みの料理をリサーチしてくれていたであろうこと。
 細やかな配慮に、知らない一面をたくさん垣間見ることができた。

『金は使ってこそ価値がある』という彼の哲学は、ただの贅沢じゃなく〝誰かのため〟でもあった。
 倒れた自分を、心配して介抱までしてくれた。
 それに、朝からこんなにも至れり尽くせりにされたら……。


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