財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
「いただきます」
「しっかり食え」

 片桐くんは一口もつけず、私が食べるのをじっと眺めているだけ。
 贅沢がしたいわけじゃないけど、こういう気遣いができる人なら……。

「……あなたと違って、私はお金より愛が大切だと思っています。だから、考え方が真逆な私たちの価値観は、絶対に合わないと思うの。それでも……私でいいんですか?」
「……フッ。なら、拝金至上主義の俺を……お前が変えてくれ」
「へ……⁉」

 彼の声音は、甘く蕩けるほどに優しい。そして、私の手を包み込みながら、熱い眼差しを向けてくる。

「お前の大切なものは、俺がどんな手を使ってでも守ってやる。だから……俺の妻になってくれ」

〝価値観は真逆。でも、この人は嘘をつく人じゃない〟私の直感がそう告げている。

「……わかりました。あなたと、……結婚します」

 片桐くんは一瞬、息を呑んだ。そして、穏やかな笑みを浮かべた。

「……よろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

 なぜだかこの時、彼の声音はどこか嬉しさが滲んでいるように思えた。
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