財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 愛おしむように啄まれ、腰を抱き寄せられる。
 何年ぶりかもわからないキスは、触れるだけの軽いものではなくて──執拗で甘く、淫らで恥ずかしいほどに深かった。
 片桐くんが上手いからなのか、体から力が抜けていく。なのに……涙が溢れてきた。

「っ……」

 片桐くんはすぐに気づき、唇を離した。一瞬驚き、すぐに困惑の表情を浮かべた。

「ごめん……まだそんな気分にはなれないよな」

 優しい声音が耳を掠め、私を安心させるように抱きしめられる。
 ポンポンと頭を撫でられ、不安でいっぱいの心が解かれていく気がした。

 だけど、きっと今日だけ。初日だから、彼は我慢しただけ。
 そのうち……抱かれなきゃいけない。だって、契約結婚なんだから……。
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