恋なんて感情もう捨てたそれなのに
『レナさん!』

そんなはずない。

でも耳は捕らえた。

愛しいあの人の声。

恐る恐る振り返った。

『まさくん?』

『うん』

『ホンモノ?』

『おいで』

持っていたバッグを足元に落とし、あたしは彼に駆け寄った。

『会いたかった』

『俺も』

『遅いよぉ』

泣きじゃくるあたしをまさくんは強く強く抱きしめた。

『苦しいって』

そう言った時髪に雫がひとつ。

顔を上げようとしたら下を向けられた。

< 22 / 25 >

この作品をシェア

pagetop