あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています

「帰りの電車も調べてあります。二十一時四十六分と、二十二時二分。遅いほうでも、日付は越えません」

「……それも、効率ですか」

「いえ」

篠宮は、おしぼりを畳みながら言った。

「調べたかったので」

効率と言わない篠宮を、初めて見た。

定食が来ると、篠宮はよく食べた。
おにぎり二つの人と同一人物とは思えない箸の進み方だった。
聞くと、片手を空けておく必要のない食事は久しぶりです、という答えが返ってきた。
次も両手の空く店にしようと、勝手に決めた。

会話は、半分仕事の話になった。
新制度の説明会の段取り。
回答集の改訂。
途中で二人同時に休日にまで仕事の話をしていることに気づいて、同時に黙って、それから同時に少し笑った。
仕事の話しかしてこなかったから、それ以外の話もできるように練習しなきゃですね、と言ったら、篠宮は「練習なら反復の必要がありますね」と真顔で返して、続けた。

「来週も、その次も、いろいろなところに行きましょう」

予定表を埋める声だった。
予定表を埋める声で、来週も、その次も、と言われた。
口に含んだ煮魚が、甘く感じた。

店を出ると、夜気が冷たかった。
冬が、もうすぐ来る。

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