あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています
『若くない?』
人事領域の名門コンサル会社ピースフェリー。
新卒は取らず、中途も手練れのプレイヤーしか取らないハイクラスのコンサル会社だ。
そのことを考慮すると異例の若さだろう。
『若い。うちらの五つ上。あと独身らしいよ』
『最後の情報いる?』
『相手役だからいるかなって』
既読をつけたまま、返事はしなかった。
昼休み明け、コピー機の前で視線を感じると、経理の女子社員が二人、給茶機の前でこちらに背を向けて立っていた。
声は抑えているつもりなのだろうが、コピー機の作動音の切れ目に、声が届く。
「──で、なんで倉橋さんなの?」
「わかんない。でも、部長飛ばしたらしいよ」
「え、何それ? 意味わかんない」
「ねえ。……女出したんじゃない? ピースフェリーのコンサルなんてほとんど出会えないだろうし」
「うちらの首は切りながら、自分だけ転職活動って感じか」
このみが後ろにいるなんて思ってないだろうが、明確な悪意を感じた。
このみはコピー機が吐き出した束を取り、角を揃える。
そして、彼女たちのほうを見ないで、目も合わせないように下を向いて、その場を去る。
(選ばれた理由なら、こっちが知りたいよ)
自席に戻ると、悔しさより先に疲れが襲ってきた。