あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています
「部署と氏名の並びが、組織図の順ではなく、講堂までの動線の順になっていた。製造棟から来る人が最初に受付に着く並びです。ああいう名簿は、数字だけ見ている人間には作れません。私は、人と数字の両方をバランスよく見ているあなたのような人と、組みたいんです」
確かに、デフォルトのリストだと社員名簿順になる。
だが、このみが受付をする際は、普段早く集まってくれる部署から順にリストを作成していた。
名簿の並び順なんて地味な仕事、気づいてくれたのは篠宮が初めてだった。
この人は、私の仕事を見て、私を選んだ。
膝の上の手に、意味もなく力が入る。
……嬉しい、と思いかけた自分に、少し遅れて気づいた。
この状況で、何を喜んでいるのだ。
「それだけですか」
「今は、それだけです」
今は。
引っかかる言い方をする人だ。
追加の質問をする前に、篠宮は次の紙を出した。
「進め方の確認です。三点あります」
一点目、データはすべて生の数字で。
加工や要約は不要。
二点目、悪い数字ほど早く伝えること。
「三点目。今後、社員への告知文書はすべて私の名前で出します」
このみはメモの手を止めた。
「……人事部の名前ではなく、ですか」
「再建に関わる告知は、すべて外部の私の名義です。質問と苦情の宛先も私に集約してください」
「それは」