あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています
「……倉庫です。埃まみれになりますけど、探します」
「お願いします」
たった、それだけの会話。
それだけだけど、帰り道が遅くなったことが、許せる気がした。
その翌週、篠宮から共有された面談予定表を、システムに登録していた。
製造、営業、開発。
部門ごとの個別面談が、びっしりと並んでいる。
このみは、日程を打ち込みながら、あることに気づいた。
戸倉さん、十七時半。
先週怒鳴り込んできた検査課の主任も、十七時半。
組合の職場委員で、いちばん強硬だと言われている人も──十七時半。
(……怒ってる人ほど、夕方の最終枠だ)
偶然にしては、揃いすぎている。
次の打ち合わせのとき、資料を渡すついでに聞いてみた。
「面談の順番って、何か基準があるんですか。強硬な方ほど、遅い時間に入っていますよね」
篠宮はノートパソコンから顔を上げず、少し間を置いた。
「感情的な方は時間通りに終わらない。スムーズに面談を進めるために、後続がいない遅い時間にしているんです」
「……それだけですか」
「それだけです」
続けて、スムーズに進めるため、と彼は言った。
でも、それなら話は逆だ。
時間で区切って打ち切るほうが、よっぽどスムーズに決まってる。