あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています

後続のいない最終枠は、打ち切らなくていい枠だ。
つまりこの人は、怒っている人の話が終わるまで、付き合うつもりなんだろう。
毎回、わざわざ。

……でも、きっと、そのことを聞いても認めない気がする。
ただ、あの枠のおかげで、戸倉さんのように話を最後まで聞いてもらえる人がいる。
そう思った瞬間、喉の奥が、ぐ、と詰まった。

胸がドキドキする、とかじゃない。
もっと体の奥のほうが、勝手に反応した。

(……何なんだろう、この人)

自分でもよく分からないまま、このみは予定表の続きを打ち込んだ。
十七時半の枠だけ、ゆっくりと文字を打ち込む。

その夜、資料の返却で四階の奥まで行った帰りだった。

フロアを出てすぐの、普段は使われていない部屋に明かりがついていた。
開いたドアから覗くと、誰が運んだのか、見慣れない席の島がある。
机が四つ。
椅子が四つ。
パソコンはあるのに、電話機がない。

書類も、私物も、何もないのに、使われている気配だけがある。

(……なんだろう、ここ)

どこかの部署が使うのだろうか、いやそんな話は聞いてない、とこのみは思う。
消灯前のフロアで、そこだけ妙に静かだった。

< 22 / 117 >

この作品をシェア

pagetop