あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています

「十三時の打ち合わせ、十二時半に繰り上げます。資料を先に確認したい」

「え、あ、はい」

「五分後に第三会議室で」

言い終えてから、篠宮の視線が、一瞬だけ岡本くんの上を通った。
時間にすれば、半秒。
数字を確認するときと同じ目だった。

それだけで、行ってしまった。
岡本くんは、少しむすっとした顔で篠宮を見る。

「……倉橋さん、あんなのと毎日仕事してるんすか」

「あんなのって言わないの」

このみが岡本くんをたしなめる。
岡本くんは「金曜、また連絡します」と言い残して、営業のテーブルへ行った。
昼を五分で流し込んで会議室へ行くと、篠宮は先に座っていた。

開口一番、資料の話だった。
繰り上げた理由を聞いても、「午後の予定が動いたので」としか言わない。

打ち合わせは、いつも通りだった。
いつも通りに終わって、いつも通りに解散した。

その夜、千夏に社食の件をメッセージで伝えると、返信は三秒で来た。

『それ、絶対わざとだよ』

『何が』

『繰り上げ。岡本くんの誘いのタイミングで割り込むって、どう考えても』

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