あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています

議事は淡々と進んだ。
売却スキームの進捗。
事業別の数字。
このみには半分も分からない議題が続いて、最後の一行になった。

「──組織運営に関する調査報告。篠宮さん、お願いします」

篠宮が立ち上がって、資料の束を配り始めた。
役員の一人ひとりの前に、一部ずつ。
藤堂の前にも、同じ動作で、同じ角度で置いた。

「五分で終わります」

いつもの、平らな声だった。

「一枚目。四階の集中業務スペース設置の稟議書です。起案は経営企画部、決裁は藤堂常務。二枚目、その運用案。対象者の氏名が並んでいます。業務内容は、マニュアル整備および過去データの点検。所属長との面談、週次で実施」

紙をめくる音が、会議室のあちこちで重なった。
三枚目、と篠宮が言ったとき、このみの指が、キーの上で止まった。

見覚えのある紙面が、スクリーンに映っていた。
四つに折られた跡が、影になって残っている。

(……戸倉さんの、あの紙だ)

工場の複合機の下で拾われた一枚が、経営会議の机まで、届いていた。

「三枚目は、この運用案のミスプリントの現物です。工場の複合機から回収されました。複合機の送信履歴によれば、藤堂常務が激励として工場を視察された日の十四時二十二分、経営企画の共有アドレス宛てに三十四枚が送信されています。ミスプリントの一枚を足すと、稟議書の添付資料の枚数と一致します」

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