あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています

「四枚目。十五年前の合理化の際の議事録の抜粋です。百二十人が自己都合で退職しています。当時の資料の言葉遣いと、今回の運用案の言葉遣いを、並べて記載しました。──円滑な人員の適正化。同じ言い回しです」

誰も、何も言わなかった。
ページをめくる音だけが続く。

「最後に、五枚目。今月、三つの部署でほぼ同時に発生した、当社の担当者に関する噂の時系列です。最初に噂を口にした三名は、いずれも前の週に、六階応接室への入室記録があります」

当社の担当者。

自分のことだ、と分かるまでに、一拍かかった。
名前は、どこにもなかった。
読み上げられた資料の中にも、スクリーンにも。
この人は、私の名前を出さないように、出さないように、話している。

「以上を踏まえての報告です。集中業務スペースの運用は、配置転換ではなく、退職強要と認定される類型に該当します。労働局の指針の該当箇所、裁判例、賠償額の相場は資料末尾の通りです。訴訟になれば、負けます。負けなくても、係争中という事実だけで、売却価格が毀損します」

切る言葉を一つも使わない藤堂のやり方が、経営上の欠陥として、数字に置き換えられていく。

「本日の要請は、二点です。一点目、当該スペースの運用の即時停止と、対象者の原職復帰。二点目、設置に至る決裁経緯の確認です」

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